V・E・シュワブの『アディ・ラルーの誰も知らない人生』を読みました。
フランスの片田舎で育ったアディ・ラルーという名の少女が望まぬ結婚を強いられた時、自由を求めて祈ってはいけない神に祈った結果、生きるのが嫌になったら魂を引き渡す契約を結び自由を得る。
でもその代償は大きく、両親もそれまでの知り合いも一瞬前に出合った人も、誰も彼女を覚えていないこと。
アディ・ラルーは300年生き抜いて、同じく魂の契約をしたヘンリーと出合うことでようやく彼女を覚えていられる人を見つけた。
ヘンリーが「僕は君を覚えている」とアディ・ラルーに言ったときの彼女の喜びがどーッと響いてきました。
もしも何でも願いが叶うなら、私は迷わず今の記憶を持ったままで、大学を卒業して、働き始めた頃の自分に戻してもらうでしょう。
もう一度大好きな人との人生をやり直すために。
そのためだったら、60歳を迎えた翌日に魂を取られても構わない。
アディ・ラルーみたいに古き神(悪魔)と丁々発止の駆け引きなどできない私は、
元夫に見送られて死ねるのならば、それでいいと思います。
いいわけひとつ言えないまま、誤解されたまま、私は彼の人生から消えることしかできなかったことが私の一番の心残りだから。
今も毎日、心が叫んでいます。
「せめて、一度でいいから彼と二人だけで話がしたかった」と。